上棟式…
うちの仕事場の裏の一軒家が、この春から古くなった家を取り壊し、新しく家を建て始めました。
うちの仕事場がまだ新築の自宅だった頃に、老夫婦が住んでいた70坪ほどの家で、寝たきりのおじいちゃんの世話をしていたおばあちゃんが「この家で5人の子供を育てたんだけど、もう私たち二人きりになってしまってねぇ…」と、時々お腹の大きい私をお茶に招いて、昔話を聞かせてくれたものです。
そのおじいちゃんが亡くなり、おばあちゃんは長男の家に引き取られて行き、別のおばあちゃんが引っ越してきました。
「うちの末っ子の息子がまだ新婚でね、私もまだ元気だし、息子夫婦もまだ同居したくないって言うもんだから、この家でしばらく下宿屋でもやろうかと思ってね」
部屋数がたくさんあるので、女子大生を数名下宿させ、部屋の掃除や洗濯など、かいがいしく世話をしていたのですが、そのおばあちゃんも年を取り、下宿屋を止めて、娘3人を連れた末息子夫婦が同居することになりました。
そのおばあちゃんが数年前に亡くなり、3人の娘さん達も成人し、100年は持つという、屋根の下に大きな梁を何本も渡した、注文建築の家を建てることになったのです。
机の前の窓を開けると、新しい木の香りが漂ってきました。
「完成するまで1年ほどかかると思います。その間お騒がせします」…と、私と同じぐらいの年の奥さんが、昨日の上棟式の後、お餅とお赤飯を持って来てくれました。
私にとっても色々と思い出深い家でしたが、新しい家が少しずつ完成していくのが毎日楽しみです。