雑誌の原稿の締め切りの合い間に、少しずつネームや作画を進めていた携帯配信用の描きおろし(オールカラー24ページ)の原稿が何とか明日には仕上がりそうです。
気分転換に買い物に出かけて帰ってくると、主人が送られてきた雑誌をパラパラとめくりながら「おい、結構おまえ美人に描かれてるぞ」と私の前に差し出しました。
成人式を迎える前に、我が家から独立して自分で会社を作り、少年誌や青年誌で仕事をこなしている長女の新連載が、その雑誌の巻頭カラーを飾っていました。
「まんがかぞく」というタイトルの下に、見たことのある4人の顔が並んでいます。
「何…? これ、私たちのこと…?」
長女も次女も高校生の時に漫画家としてデビューしましたが、当時から両親が漫画家だということを隠したがっていたのに、この漫画ではしっかり家族の仕事事情を明かしています。
「へえ…お父さんのこと自慢したくなったのかな?」
主人は私の漫画もそうですが、娘たちの作品を一切読みません。
家族全員が顔を合わせた時も、仕事の話などしませんし、お互いに今どこの雑誌に描いているのかよく知りません。
ただ…少女漫画からレディスに転向した私や、4コマ漫画を描いている次女と違い、主人と長女は、少年誌や青年誌という同じジャンルで描いているためか、少し…いえ、かなり意識し合っているみたいです。
10代の頃から大手少年誌で何本もの週刊連載をこなし、難しい構図やデッサンを難なく描きこなす父親と未熟な自分を比べ「私の存在は何て小さいんだろう…」と悩んでいた時期もあったのだとか…。
「女子高生」という作品が主人と同じ雑誌に連載されていた時も「お父さん、私の漫画を読んでないみたい…」としょげていましたが、それがTVアニメ化された1回目は、何度もテレビ欄をチェックして、リアルタイムで観ていたものです。
でも、そんなことは娘には言いませんし、悟られもしません。
連載1回目の最後に「お父さんは私にとって、一生越えられない目の上のたんこぶです」…というセリフが出てきます。
そんな生意気なセリフが言えるようになったんだな…って、ちょっと胸が熱くなりました。